【MUSIC】秋の夜長にジャズはいかが?初心者も聴きやすい新世代のアーティストたち

こんにちは、Chiaです。猛暑の夏が過ぎて涼しくなり、ホッとしている方も多いのではないのでしょうか。
今回は芸術の秋ということで、好きな音楽のジャンルの一つであるジャズについてお話したいと思います。

ジャズを聴くようになったのは、大学時代に卒業論文でビートニクについて調べたことがきっかけで、チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーに代表されるビバップのアーティストたちや、その後のモダンジャズに興味を持ったからです。ジャズクラブに初めて足を運んだのもこの頃でした。ただ、当時はまだ自分が背伸びしている気がして、ジャズ=大人の音楽という印象でした。

その意識が変わったのが、数年前ぐらいからでしょうか。ジャズと日本の歴史に関する本を読んだことと、ここ数年で「新世代ジャズ」と呼ばれる若いミュージシャンたちの活躍がめざましいこともあって、新旧問わずジャズを聴く回数が自然と増えていきました。ロックというジャンルに拘っていた自分も、以前から好きなバンドがジャズの要素を取り入れていたことに気がついたり、新たな発見があったのも嬉しかったです。

今回はそんな若いアーティストの中から、お気に入りの人たちを紹介したいと思います。モダン・ジャズの系譜を受け継ぐ演奏を聴かせてくれるアーティストもいれば、ロックやヒップホップとの融合で新境地を見せてくれるアーティストもいて、今後が楽しみになるばかりです。

Flying Lotus (フライング・ロータス)

先月のソニックマニアでも素晴らしいライブを見せてくれたフライング・ロータス。2014年にリリースされたアルバム『You’re Dead!』からの一曲、”Never Catch Me”は色々な意味で衝撃でした。美しいピアノの旋律、軽やかでタイトなドラム、唸るようなベース、ケンドリック・ラマーのラップ、全てが不思議な調和で成り立っていて、プロデューサーとしてのフライング・ロータスの凄さを物語っています。しかもジョン・コルトレーンが大叔父だと聞いて驚きました。

Thundercat (サンダーキャット)

フライング・ロータスが主催するレーベル、Brainfeeder所属アーティストで、”Never CatchMe”でも特徴的なベースサウンドを披露したのがサンダーキャットです。アルバムのジャケットの怪しさに怯んではいけません。6弦ベースを自在に操り、今までのベースという楽器の概念を覆すような表現に驚かされます。フジロックで観たライブも、あまりの超絶技巧ぶりに思わず笑ってしまうぐらいに凄かったです。

Kamasi Washington (カマシ・ワシントン)

同じくBrainfeeder所属のカマシ・ワシントン。サンダー・キャットとは3歳からの幼馴染で、ジャズミュージシャンの父親同士が知り合いだったとか。ジャズミュージシャン二世が、新世代ジャズの勢いを生み出してるんだなと思わされます。他のBrainfeeder勢と比べると、違うジャンルとのクロスオーバーというよりは、ジャズの歴史を深く探求しているようなスタイルが特徴。新旧問わずジャズ・アーティストとの親交が深く、高校~大学を通して音楽を専攻していたと聞いて納得しました。

以前観に行ったライブでは、アルバムにも収録されていたスタンダード・ジャズナンバー、”Cherokee”を情緒たっぷりかつモダンなアレンジで披露してくれたのも印象的でした。

Robert Clasper (ロバート・グラスパー)

先日東京ジャズで行われたハービー・ハンコックとの共演も記憶に新しい、新世代ジャズの代名詞ともなったロバート・グラスパー。ロバート・グラスパー・エクスペリメント名義でリリースされた『Black Radio』の噂を聞いたのはいつだったか覚えていませんが、初めて聴いた時はジャズというよりもR&Bやヒップホップの印象が強く残ったのを覚えています。

ロバート自身、インタビューで「ジャズ以外のファンへのアプローチ」を強く意識した作品であることを述べている通り、クロスオーバーによって既存の楽曲の新しい解釈、ファン層の拡大に成功した作品と言えます。エリカ・バドゥが歌う”Afro Blue”やレイラ・ハサウェイによるシャーデー”Cherish the Day”の美しいカバーがあるかと思えば、ラップも飛び出し、ロックからはデヴィッド・ボウイとニルヴァーナの楽曲をセレクトするなど、クロスオーバーを印象付けるエポックメイキング的な作品となったのは確かだと思います。

また、トリオやR+R=NOW名義の作品では、よりジャズ色が強い一面を見せてくれます。今後もシーンを牽引してくれる存在として活躍を期待しています。

Christian Scott (クリスチャン・スコット)

上で挙げたR+R=NOWにも参加し、トランペット奏者、作曲家、レーベルオーナーとして活躍するクリスチャン・スコット。NPRのTiny Desk Concertという動画が好きでよく観るのですが、そこで演奏したクリスチャンの民族音楽を感じるダイナミックなアレンジから、メロウで繊細な音色を奏でる表現力の豊かさに魅了されました。

2013年に参加したネクスト・コレクティブという名義でのアルバム『Cover Art』でBon IverやGrizzly Bearのカバーを披露していて、フェイバリット名前を挙げたRadioheadのトム・ヨークからの指名でAtoms for Peaceのライブにもゲスト参加するなど、インディーロックに造詣が深いことも、彼の音楽に大きな影響を与えているのだと思わされます。

Go Go Penguin (ゴーゴーペンギン)

場所を変えて、今度はUKのジャズシーンより。マンチェスター出身、ピアノ、ドラム、コントラバスのピアノトリオであるゴーゴーペンギン。ジャズとエロトロニカやポストロックの融合と称される彼らの音楽は、滑らかで緩急自在で心地良いのにスリリング。生演奏しているということを忘れてしまいそうなぐらい正確で、3人の息がぴったりと合わさっています。

ピアニストのクリスは「エレクトロニックサウンドやテクニックを生の楽器で表現したり、真似したりするのはとても楽しい」と語っていて、11歳から聴いていたUnderworldが好きだそうです。他にも坂本龍一やDabrye、Daudi Matsiko、Mark Pritchardなどの名前を挙げています。(※1)秋には来日公演を控えていて、冬にはロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでも演奏する彼らから、今後も目が離せません。

(※1)REVOLVER「A HUMDRUM STAR: THE GOGO PENGUIN INTERVIEW」
http://projectrevolver.org/features/interviews/humdrum-star-gogo-penguin-interview/

King Krule (キング・クルエル)

ロンドンのジャズシーンについて、昨年あたりから海外でも日本でも、色々な記事を目にするようになりました。以前からダブステップやグライムなどのジャンルを生んだ南ロンドンの音楽シーンに注目が集まっていましたが、ジャズも同じく南ロンドン出身の若いアーティストが目立つようになりました。SNSやSpotifyの普及により、ジャンルを問わずに聴くリスナーと演奏するアーティストが増え、双方にとって良いサイクルが出来上がっている気がします。

キング・クルエルことアーチー・マーシャルの音楽を表すとすれば、ロック/パンク/ジャズ/ブルース/ダブステップetcという雑食な感じなのですが、好んで聴いていたというジャズは重要な要素を占めています。かと思えば、90~00年代ロックの影響もギターリフに見え隠れするのが面白い。

まだ弱冠24歳だとは思えないしゃがれた声で呟くように歌うボーカルスタイルは、チェット・ベイカー、イアン・デューリー、ジョー・ストラマーに影響を受けたそう。(※2)また、出身地である南ロンドンのペッカムの音楽シーンが拡大しすぎたと感じていることなどをSPIN誌に語ってるのも興味深いです。(※3)

(※2)Pitchfork
https://pitchfork.com/features/rising/8696-king-krule/

(※3)SPIN 「King Krule Shares the Secrets of The Ooz」https://www.spin.com/featured/king-krule-the-ooz-interview/

Joe Armon-Jones (ジョー・アーモン・ジョーンズ)

最近気になっているのが、ジョー・アーモン・ジョーンズ。キーボード奏者であり、UKジャズの中でも重要なバンドであるエズラ・コレクティヴの一員でありながら、コンポーザー/プロデューサーとしての役目も果たしています。また、彼も新世代ジャズの他のアーティストと同じく、ピアニストの父親と歌手の母親を両親に持ち、ジャズを聴いて育ったというバックグラウンドがあります。

昨年リリースしたMaxwell Owen(マックウェル・オーウェン)とのEP『Idiom』も充実の内容でしたが、今年の春にリリースされた初のソロアルバム『Starting Today』ではロンドンのジャズシーンを彩る豪華なゲスト陣と共に、色彩豊かなサウンドを聞かせてくれます。Brainfeederのアーティストを引き合いに出されますが、このアルバムはジョーが4~5ヶ月かけて自分でミックスとプロデュースを手掛けたそう。(※4)Flying Lotusと同じく、雑食な音楽をまとめ上げるプロデューサーとしての手腕の鮮やかさを感じる一枚です。
(※4)bandcamp Daily 「Joe Armon-Jones Captures the Pluralistic Grooves of ModernLondon Jazz」
https://daily.bandcamp.com/?s=Joe+armon+&submit=Search

いかがでしたでしょうか。私はこの秋もいくつかのジャズライブに足を運びたいなと思っています。
気になった方は、ぜひ一度聴いてみてくださいね。(Chia@skintmint)

参考資料
Fader 「9 U.K. Artists Making Jazz Feel Brand New」
http://www.thefader.com/2016/12/19/uk-jazz-artists-shabaka-hutchings-yussef-kamaal
The Guardian「The UK jazz invasion: ‘I’m sure that some purists wouldn’t even call it
jazz’」
https://www.theguardian.com/culture/2017/mar/15/jazz-london-moses-boyd-unitedvibrations
i-D「jazz, but not as you know it」
https://i-d.vice.com/en_uk/article/qvwj3m/jazz-but-not-as-you-knew-it
XLR8L 「London’s Experimental Jazz Renaissance」
https://www.xlr8r.com/features/londons-experimental-jazz-renaissance

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