【Music】A.Y.A『2 Cool 4 School』/”普通”になんて馴染めなくても

こんにちは、ガーリエンヌです。

5月13日、花園magazineでもたびたびモデルとして登場してくれたアーティストのA.Y.A(エーワイエー)ちゃんが、デビューアルバム『2 Cool 4 School』(Low High Who?/価格2000円)をリリースしました。
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TOWER RECORDS
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全13曲を収録。クールでエッジが効いていてそれでいてポップなサウンド。
スカイ・フェレイラやチャーリーXCXといった同世代のガールアーティストにも通じる、自由な感性と反抗的なアティチュード、そして何より真摯なメッセージの詰まったアルバムです。
A.Y.Aに、本作の聴きどころと、15歳で単身上京してから今回のリリースに至るまでの半生について、インタビューしました!

創造的であること、セクシーであること、アウトサイダーであることを恐れない。
確信犯的なインターネット時代の申し子A.Y.A、デビュー!

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多くの少女たちがそうしてきたように、彼女もまた、眠る前にノートを開いて、秘めた想いを綴る10代を送っていた。冴えない現実の学校生活を憂いながら、いつか華々しくステージに立つ自分の姿をこっそりと夢みて――。
ただしA.Y.Aが違ったのは、実際に行動を始めたこと。15歳で単身上京し、高校に通いながらオーディションを受けまくった。「可愛くて歌える子なんてたくさんいる。このままでは淘汰されるだけ」と気づいてからは、作詞作曲を勉強し、宅録を始めた。ミュージックビデオを撮影・編集してYoutubeで公開し、アメリカ最大のmixtape配信サイトDatpiffで、ミックステープをリリースした。「自分にはできない」と思わず、なんでも試行錯誤しながら自分でやってみる。予算がないなら知恵を使ってみる。SNSを使ってダイレクトにリスナーたちと交流する……。そんなA.Y.Aの音楽的DIYの旅が、このたび1枚のアルバムとして結実した。それが本作『2 Cool 4 School』だ。HIP HOPを中心に、映像、出版を交えた総合芸術プロダクションを標榜する気鋭のレーベル LOW HIGH WHO?からのリリースとなる。
「ライブでラッパーのGOMESS君と共演したことから、彼が所属するLOW HIGH WHO?への参加がとんとん拍子に決まったんです。それじゃあデビューアルバムを作ろう! となって、2014年の秋から2015年頭までの期間で、集中して作りました。今まではメジャーデビューを目指すことを前提にしていたから、曲作りの際も大人たちが『ああしなさい、こうしなさい』と口を出してくることが多かったんですが、今回は本当にインディーだから、インディーらしく自由に好きにやろう!と決めました」
小学校低学年の頃からMTVを見て育った生粋の洋楽リスナーらしく、本作は最近お気に入りのインディーR&Bとチルウェイブを中心としながら、ロックあり、ラップあり、エレポップありのサウンドの上を、日本語詞と英語詞が自在に行き来するユニークな内容となった。もちろん、すべての作詞作曲をA.Y.A本人が担当している。2曲目「Beautiful Fantasy」、3曲目「Downer」など、“James Blake以後”のシーンの流れを汲んだ、打ち込み主体の、浮遊感のあるサウンドが耳を惹く。
「現在の洋楽シーンの主流であるEDM、インディーR&B、チルウェイブの中で、EDMは日本人も取り入れるようになってきたけど、あとのふたつはほとんど誰もやっていない。じゃあ私が最初にやっちゃおうと思って作った曲です。わかりやすく泣けるようなJ-POPはともかく、格好いい曲なら書けるよっていう自信があったから」

チルウェイブは、彼女が高校時代に作曲を始めた頃、最初にチャレンジしたジャンルでもある。後述するが、本アルバムのテーマは“思春期”。だからこそ、今回避けて通れないサウンドでもあった。
「チルウェイブなら、楽器ができなかったり、バンド仲間がいなくても、家でひとりで作ることができました。グランジと一緒で、お金のない若者向きな、DIY感あふれる音楽だと思います。だからチルウェイブ=10代の頃の自分というイメージがあるんです」

一方、赤裸々に綴られた歌詞も本作の特徴だ。あけすけなガールトークから、SNSとの向き合い方、政治・社会への辛辣な意見まで、22歳女子の本音が描かれている。特に、自身の早熟な初体験(!)について歌った4曲目の「Virginity」は、いろいろと話題を呼びそうな一曲だ。
「エロい曲を入れたかったんです(笑)。どぎついこともあえて歌っちゃおうという企みがありました。今の音楽業界には『等身大』として売り出されている女の子がたくさんいるけど、誰もセックスについては歌わない。でもそれってウソじゃんと思っていて。女の子だってエロを歌っていい!っていうことを表明したかったんです。だってそのほうがリアルだから」
とはいえ、恋愛や性について歌った曲も、サウンドはあくまで一貫してクール。ウェットになりすぎることなく、タフでセクシーな女性像を打ち出しているところが、A.Y.Aというアーティストの魅力だろう。
「『フェミニズム的にセクシーである』ということを大事にしています。自分のためにセクシーであることを楽しみたい。実は小学校低学年の頃、マンションのエレベーターの中で、知らない男の人にイタズラされかけたことがあって……。すごく恥ずかしかったし、自分が悪いのかな?と思って、わざとボーイッシュに振る舞っていた時期もあったんですけど、クリスティーナ・アギレラの『Stripped』というアルバムを聴いて衝撃を受けたんです。女の子はセクシーでいていいんだ!って」
『Stripped』が発売された2002年は、アギレラ以外にもビヨンセ(デスティニーズ・チャイルド)、ブリトニー・スピアーズ、シャキーラなどの女性ポップスターたちが“セクシーで強い女性像”を打ち出し、センセーションを巻き起こしていた時期。幼い頃から歌うのが好きだったA.Y.Aが、「音楽性とビジュアルを両立するアーティスト」を目指すようになったのも、自然な流れだった。だが皮肉にも、音楽業界を志したことで、“若い女の子であることの価値”を常に意識しなければならなくなる。
「オーディションを受け始めたのが12歳と若かったので、目をかけられたりして、ある意味有利なこともあったと思います。でも高校を卒業する頃には、『今デビューしなきゃ、お前はもう無理だよ』と言われるようになって。男子はそんなこと言われないのに!」
業界の大人たちから、セクシーな歌を歌っているからという理由で「遊んでるんでしょ?」と言われて体を触られたり、「可愛いんだから、曲なんて書かなくていい。もうちょっと痩せればデビューさせてあげるよ」と言われたこともあったという。
「私はそういうのは無視するようにしていましたけど、周りの歌手志望の女の子たちを見ると、おじさんたちの言いなりになったり、へらへらして媚を売ってしまう子も多かった。『この業界はそういうもの』って麻痺してしまうんだと思いますが、私はフェミニズムに敏感であるがゆえに、音楽をやること、芸能の世界を生き抜くことが息苦しいなと思うこともありました」

そんな10代をサバイブして、自力で今の地点まで辿り着いたA.Y.Aがデビューアルバムに掲げたのは、「思春期をテーマにした、アウトサイダーに向けた作品」というもの。
「アルバムを作り始めた頃、『学校にはクールすぎる』とか『群れるには格好良すぎる』という意味の、『2 Cool 4 School』というフレーズが浮かんだんです。それで、思春期をメインテーマにしようと決めました。ただ、ここでいうSchoolは学校のことだけではなく、職場や社会、あらゆる枠組みを指しています。社会の求める“普通”から少しでも外れてしまうと、生きていくのって大変。目に見えない縛りや圧力に馴染めず苦しんでいる人、苦しんでいた人に、『あなたは悪くないんだよ、変なんじゃない、群れるにはクールすぎるだけ』って伝えたい。それはまさに、10代の自分が言われたかった言葉でもあるんです」

アーティストネームの「A.Y.A」は、本名の頭文字でありつつ、ジェンダーレスな印象が気に入っているそうだが、単なる芸名という以上に、壮大なプロジェクトが始まる予感を抱かせる。A.Y.Aというポップアイコンが音楽を武器に世界に挑戦し、夢みるたくさんの少女たちに勇気を与えていくというプロジェクトだ。
「私は音楽を通じて、レッテルを張りたがる大人たちに『賞味期限なんてないよ、バカ』って表明したいんです」
Windows95によってインターネットが広まってから、20年。誰もがガジェットを操り、SNSで自ら発信するこの時代の申し子、それがA.Y.Aなのかもしれない。Wi-Fiさえ飛んでいれば、彼女の音楽はどこへでも現れる。大人たちの窮屈な手をするりと抜けて――。革命はもう始まっている。
(@girliennes)

◆A.Y.Aが選ぶ、「思春期カルチャー」3選◆(以下、text by A.Y.A)

ImageProxy.mvca①映画『ミーン・ガールズ』 (2004)
今ではすっかりお騒がせセレブとして悪名高くなってしまったリンジーですが、この頃の彼女は、本物のスター。
リンジーが演じた主人公ケイディは、キュートで賢くて、セクシーで、ユーモラスで、芯のあるクールな女の子で、他のブロンド美女とは一線を画す、この役のキャラを地で行くようなリンジーの魅力に、あっという間に恋してしまいました(その結果、公開から10年以上経った今でも、当時のリンジーの影を追い求めている赤毛の女(私)がここに……)。
ティーン向け映画に「人からどう見られるかなんて気にせずに、自分らしく生きて行こう」というメッセージが内包されているのも素晴らしい。

ImageProxy.mvc②音楽『Are You Thinking What I’m Thinking?』/The Like(2005)
LA出身のガールズバンドThe Likeが2005年に放ったファーストアルバム。
マイブラとか好きな人なら、絶対好きなサウンドです。ボーカルのZ・バーグが書く、答えの出ない鬱々とした歌詞もリアル。
私自身も、思春期の頃は相当悩みましたが、その先にあったのは、明確で分かり易い答えというよりは、むしろある種の諦めや、覚悟の様なものだった気が。
鬱々とした思春期を過ごした人なら「あぁ、あの時のあの感じ!」と、当時を思い出して、胸がきゅっと締め付けられるはず。
思春期に傷を負った女の子達の心に寄り添うような、ガーリーで考慮深い、とても繊細で美しいアルバムです。

ImageProxy.mvcq③小説『ここは退屈迎えに来て』/山内マリコ(2012)
学生時代の人気者だった憧れの彼が、数年後に地元で再会したら、イケてない男になり下がっていたetc.
リアル過ぎる地方あるあるエピソードの数々に笑わせられると同時に、私の様な地方出身者からすると、ちょっと他人事では済ませられず、ドキッとする一冊。
別に地元で暮らす人生が最悪とは思わないけれど(むしろ東京が全てと思っている人の方が痛い)、ただ、「誰かに迎えに来てほしい」と思いながら過ごす田舎での一生はつらいだろうなぁと。
都市であろうと、田舎であろうと「誰も迎えには来てくれない」と気付けた所からが本当の人生のスタートなんでしょうね、きっと。

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A.Y.A(エーワイエー)
1992年6月9日、福岡県生まれ。幼少期から歌手を志し、15歳で単身上京。ポップかつカッティングエッジな音楽性に定評があり、作詞作曲、アーティスト写真やミュージックビデオの制作も自ら手掛けている。音楽、映画、ファッション、セレブリティ情報など、海外カルチャーにも造詣が深く、モデルや雑誌『NYLON』のブロガーとしても活動。トレードマークはビビッドな赤毛!
Twitter @glamayaka
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