【Anime】女子におすすめ!夏休みアニメ特集(by深緑野分)

こんばんは、@vertigonoteです。
学生の皆さんは夏休みシーズン、お仕事されてる方もお盆周辺で少し長めの休みをとられることも増えてくるこの時期。
今回の花園magazineでは、『オーブランの少女』をはじめとしてちょっと不思議で仄暗い女の子ミステリーの旗手、映画やアニメにも造詣が深い作家の深緑野分さん(@fukamidori6)に「夏に見たい女子アニメ」について寄稿していただきました。暑い日、涼しいお部屋でアニメ一気見!というのもなかなか楽しい過ごし方なのではないでしょうか?

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はじめまして、深緑野分と申します。ミステリ界隈の端っこで小説を書いています。縁あってばちこ姐さんにご依頼頂きまして登場しました。
暑いですね! 暑いので家に籠もってDVD鑑賞、いかがですか。というわけで早速はじめましょう、【この夏、女子におすすめのアニメ】!!

まず1本目は、『電脳コイル』
心の底から大好きな、マイベスト・オブ・テレビアニメです。ご覧になっていなければ今すぐビデオ屋に走りましょう。

主要登場人物は小学六年生の子供達、今から十数年後の近未来が舞台で、〝電脳〟と呼ばれる技術が発達している世界です。ジャンルはジュブナイルSFにあたるのですが、絵柄だけ見るとなんとなく〝ジブリっぽい〟というか、どことなく懐かしい感じの「和気藹々してそうなアニメ」に思えます。
しかしオープニングテーマが流れてくると「あれ?」とちょっと驚きます。音階は暗いし、歌詞もどことなく孤独な感じがして、それでいて強い。
実際の内容はというと、大笑いしてしまうしドキドキわくわくの冒険要素もあるんですが、芯にあるものは主題歌が予感させるとおり、心をぎゅっと摑まれてしまうくらいに切なく、それでいて怖くて、毅然としているのです。ミステリとして観ても秀逸な仕掛けが施されていて仰天しました。

――子どもたちのうわさによると、 大黒市では最近、ペットの行方不明事件が多発しているそうです――
大黒市に引っ越してきた小学六年生の小此木優子・通称ヤサコは、町なかで不思議な真っ黒い生物と出会う。メガネを外すと見えなくなるので、仮想の電脳生物に間違いない。
電脳技術が発達した未来、特殊な〝電脳メガネ〟を使えば電話もメールもでき、仮想プログラム上の動物〝電脳ペット〟を飼うこともできた。
ヤサコの犬型ペット、デンスケは、その真っ黒な生物を追いかけて姿を消してしまう。「電脳探偵」を名乗る同い年の少女フミエに助けられて無事デンスケを救助するが、その陰で、謎めいた少女が魔法陣のような記号を操っている姿があった。
大黒市に来てからおかしな出来事ばかり起きる。ヤサコは次第に不思議な街の謎に巻き込まれていき……。

本作の少年少女たちは電脳メガネをすいすいと使いこなし、いたずらを仕掛ける時は相手のメガネをハッキングします。子供って、新型ゲーム機が発売されるとあっという間に順応しますけど、あんな感じ。(近年製品化されたメガネ型ウェアラブルデバイスが登場したときは「うおおお電脳メガネ!」と浮かれてしまいました)
コマンドは手入力だけでなく、〝メガばあ〟と呼ばれるパワフルな駄菓子屋の婆さん(実はヤサコの祖母)が売りさばく様々なアイテムを使った、違法な妨害(プログラムが仕込まれたお札メタタグを使ってメガネからビームを出したりする)もできます。その一方で行政は危険な遊びやバグを改善するための補修ソフト、〝サッチー〟に街を巡回させており、いたずら好きの子供たちから恐れられていました。

序盤はとにかく悪ガキどもの電脳対決やサッチーとの鬼ごっこが痛快で、わくわくが止まらない。特に第四話はヤサコとフミエ、ガキ大将ダイチ率いる悪ガキ集団大黒黒客(ヘイクー)、そして謎めいた孤高の転校生イサコが、激しいハッキング戦の三つ巴を展開して猛烈に面白いので、ぜひ観てみてください。中盤からは更に何かを企むイサコと、幼馴染みの少女を事故で亡くした少年ハラケンが、物語に仕掛けられた謎を増幅させていきます。都市伝説で囁かれる「あっちの世界」や、ヤサコの古い記憶に残っている謎の「4423」という数字の意味とは? そして終盤は……おそらく序盤からは想像もつかないような展開に。

人間ではないけれど大切な存在、甘酸っぱい初恋、子供の間に伝わる怖い話、見えている世界と紙一重に潜んでいる異世界、そして生と死。
痛いかもしれないけれど、その先には真実がある。どんなことが起きてもあなたとわたしは繋がっている。
子供の頃って、なぜ壊れたものが直らないのかわからなかったんですよね。どうにかしたら直るんじゃないかと思っているところがある。方法は探せば見つかると信じている。そんな単純な、でも切迫した焦りに対する答えが本作だと思うし、最後はまるで〝世界の理〟の一部に触れたような気にさえなります。今回ブルーレイを引っ張りだしてざっくり観直したんですが、いやあ、何回見ても涙腺崩壊しますね。エンディングテーマ名曲すぎです。参った参った。
振り返った道の果てに沈む赤い夕日に目を眇めつつ、さっと踵を返して進んでいくような、そんな作品です。

特に女子におすすめしたい理由は、とにかく登場する女子キャラたちがみんな強くて優しくてクールでかっこよくて、男子を圧倒してしまうから。ちょっと乱暴で単細胞だけど正義漢のフミエ、周囲とは打ち解けないがものすごく強いイサコ、おっとりしているようで芯があるヤサコ、そして子供たちに違法の電脳グッズを売りさばく凄腕ハッカーであり、ピンチの時は頼りになる〝メガばあ〟の愛嬌がたまらなく愛しい。もうひとり非常に魅力的な女性キャラがいるのですが、中盤からのお楽しみということで。
「元気な女子モノ」としても最高のアニメです。
そういえば小6組は設定上、今年2014年生まれなんですよね。みんなおめでとう。

コアなアニメ好きからも高評価を得ていて、数々のアニメ賞の他、第39回星雲賞メディア部門や、第29回日本SF大賞も受賞しています。
監督の磯光雄は大友克洋『MEMORIES』など、数々のアニメ作品の原画担当の他、作品内のメカ作画や開発、SF設定などにも関わり、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』や『新世紀エヴァンゲリオン』などの一部脚本を担当した、生粋のSFアニメーターです。音楽は葉加瀬太郎とともに「クライスラー&カンパニー」で活躍した斉藤恒芳、主題歌・エンディングテーマは池田綾子。
作画も評価が高く、作画担当の井上俊之の他、原画の本田雄・板津匡覧などの、鬼気迫るアニメーション技術も堪能できます。
いやあ、もうほんと大好きすぎて、ああ、愛が重い感じに。これNHK教育テレビの番組だったんですよね……2007年のリアルタイム放送で観ていた少年少女が羨ましい。
ぜひぜひ、観てみて下さい。面白さは保証します!!

さて、もう1本は、『花咲くいろは』
仕事、してますか?会社員でもフリーランスでもアルバイトでも家事でも、かつて働いていた経験があるひとでも。あるいは学校で任された委員会でもいい。仕事をしたことのある人だったら、ぜひ観て欲しいアニメです。
高校二年生の〝緒花(おはな)〟は、雑誌ライターの母親と東京に住んでいたが、母親が借金を抱えた恋人と家を出てしまい、自らは北陸の旅館を営む祖母の元へ送られてしまう。しかも教えられた旅館へ行くと、「働かないと住まわせてやらない」と言われ、はじめての仲居仕事をやるはめになるが……というお話。

環境が最高に整ってる職場なんて、ないですよね。絶対ソリが合わないとわかっている同僚とも仲良くしなくちゃいけないし、理不尽に思えることで叱られたりする。上司は頼りないし、経営も傾きはじめている。やりたいことがあってもうまくいかない。
そんなめちゃくちゃリアルな世界で、緒花は汗みずくになりながら仲居の仕事をし、旅館『喜翠荘』に愛着を抱くようになり、「自分は将来、何をやりたいのか」を知っていきます。
第一話は主題歌が最初ではなく最後に流れるのですが、そのタイミングがまあ絶妙で。はじめての職場で仕事をするときの、あの「周りに味方がいない」「道具一つ使うにも聞かないとわからない」緊張感が見事に表現されています。
この作品はまた、「人の欠点を描くのが大変巧い」作品でもあります。というかむしろ人間は欠点で出来ているとばかりに、ちょっと「えー?」って感じちゃうような設定でキャラクターを描いていきます。なんてったって、主人公、空気読めないし。でもそれが愛おしい。リアルな世界でも、「まあ、こういう奴だもんね」って思えばあばたもえくぼになることありますよね。若き板前の徹さんが車で流してる音楽とかね、「あー……いるいる」って生暖かい目になってしまう。友達だと思っていた男子に告白されたりもしちゃって、恋心に自覚がなかった緒花がようやく何かに気づいた回は、もう身に覚えがありすぎていたたまれない。
ともあれ、背筋をすっと伸ばして、仕事がんばろうって気になれるアニメです。

監督は安藤真裕、シリーズ構成は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』の岡田麿里、キャラクターデザインはゲーム『アトリエ』シリーズアーランド編などの岸田メル。制作は富山県にスタジオを持つP.A.WORKSです。主題歌nano.RIPEのポップなロック、二期のエンディング担当のクラムボンのしっとり具合もGOODです。

小難しいことは抜きにして、とにかくがっつり楽しいアニメを!と言う方には春に放送が終わったばかりの『キルラキル』をおすすめします。
〝生命繊維〟と呼ばれる糸を使った服を着ると強くなれる世界。
キャラデザを見ると露出が多く見えますけど、まったくエロさを感じないむしろすげえかっこいい!とはしゃいでしまう、実は女子向けアニメ。古き良きヤンキー少女と学園に君臨する女生徒会長の一騎打ち、そしてめくるめく乱闘の後に訪れる、地球規模の戦い。特に22話、アツい、アツいです。初回からこのペースで大丈夫なのかと思うハイテンションぶり、あえて古くしているギャグパート、そして一番かっこいい男子キャラが「制服」という、まさになんだかよくわからないアニメ(褒めてる)。でもヤンキー少女流子はかっこいいし、親友になるマコもアホかわいいし、生徒会長皐月さまに私も平伏したい。女子にぜひ観て欲しいバトルアニメです! 「鮮血」愛してる!
監督は今石洋之、シリーズ構成は中島かずき、キャラクターデザインはすしお。『天元突破グレンラガン』『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』のスタッフが、この作品のためにGAINAXから独立して作った新会社TRIGGERの制作。次回作はなんとアメリカ発ハイテンション異世界日本ネット小説『ニンジャ・スレイヤー』!!ネオ・サイタマでキエエエ!!

今放送中のアニメでいいのはないの?と言う方は、そうですね……『ばらかもん』どうですか……私は原作のコミックに絶賛ドはまり中です。面白いですよ『ばらかもん』!

いかにも「日本のアニメ」っぽいのはちょっと……というおしゃれさんには、フランス産ノワールアニメ『パリ猫ディノの夜』をぜひ。あと猫好きもね!猫の動きリアルだよディノかわいいよディノ。

ああー、ほらやっぱり長くなってしまいましたよ。すみませんすみません。何かひとつでも気になった作品がありましたら、ぜひ観てみてくださいね。

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深緑野分(ふかみどり・のわき)PROFILE
1983年神奈川県生まれ。2010年、短編「オーブランの少女」で東京創元社第7回ミステリーズ!新人賞にて佳作を受賞、デビュー。最近の掲載情報はこちら

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