【Movie】人生サイテー、でもないよ。/『バチェロレッテ―あの子が結婚するなんて!』

happy こんばんは、@vertigonoteです。『花園magazine Vol.3 2013秋冬号』をご購読いただいた皆さん、本当にありがとうございます。嬉しいメッセージをたくさんいただけて、スタッフ一同とても嬉しく思っております。通販の方は、順次発送しておりますので、もう少々お待ちくださいませ。まだまだ申込みも受け付けておりますので、お気軽にDM・リプライ・メール等いただければと思います。

bridesさて、この「花園magazine」の立ち上げ時から一緒に映画や小説を楽しんできたメンバーの女子のひとりがこのたび結婚式を開き、ガーリエンヌ、麻衣、私も人生初のブライズメイズを務めてきました。お揃いのカラーのドレスでパーティに参加するなんて経験、なかなかできるものでもなく、素敵で楽しくてとっても感動的なパーティ・タイムでした。
そして胸をよぎったのは今年劇場公開された大のお気に入りキューティー映画、『バチェロレッテ―あの子が結婚するなんて!』のことでした。さすがにこの映画のようなトラブルこそ起きませんでしたが、色々とモヤモヤを抱えたアラサーである私は胸を締め付けられる特別な映画だったのです。

結婚式に出席するためニューヨークへ集まったレーガン、ジェナ、ケイティのワケアリ未婚ビッチ3人組が、結婚式前夜のパーティで騒ぎすぎ、花嫁のドレスを破ってしまったことからの一夜の大騒ぎの顛末を描いたこのコメディ、プロットからして『ブライズメイズ』×『ハングオーバー』以降、な作品なのですが(そしてそちら派の方もいらっしゃるとは思うのですが)、なぜか私の周囲では今作『バチェロレッテ』派が最多数。
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おそらくそれは、私たちが今作のメイン・ヒロイン、レーガンを演じたキルスティン・ダンストとともに「青春時代を過ごしてきた」世代であること、そしてレーガンがビッチなままで笑って終わる映画であることと無縁ではないでしょう。

レーガンは、決してわかりやすい「負け犬」ではありません。不細工な女友達ベッキーも含めて高校時代からの悪巧み仲間のジェナとケイティを「従える」彼女はいまだに心は“クイーン”、「勝ち組」モード。仕事は一流だし(の割に仕事が好きなわけでもなさげだし、異常に人使いの荒い鬼上司のようですが)、ボランティアもやっているし(自分より恵まれてない人間を見たいという不純な動機ですが)、ブライズメイズの仕切りも抜群だし(酷いこともしますが)、何より恋人もいるし(重要よね)、決して容姿が悪いわけじゃない(重要よね!)。なのに!なぜ!あの子が!先に!嫁に!行くの!!!

BACHELORETTEそんな彼女の「負けた気がする」なんてわかりやすく同情を求める言葉はめったなことで吐かない、あっぱれな気高きビッチ・クイーンぶりが愛おしくてたまりませんでした。どうしても「負けん気」が勝ってしまう女。隙あらば人を見下し、悪巧みし、キシキシした張りつめた顔をしているレーガン。バカすぎて始末におえないケイティや元彼引きずりすぎてドラッグとセックス中毒状態のジェナを引きつれてドレスの始末をつけようとしたものの、自分が着たかったドレスを見て態度を変えるときのあの鬼の形相。 でもそんな彼女がなぜベッキーみたいなクラス底辺女子とつるみ続けたのかが明らかになるバスルームで、「あの頃」を語るベッキー(まんまるで幸せそうなレベル・ウィルソンがとっても可愛いのです)の言葉を聞くキルスティン・ダンストの涙ひとつ流さないのに心が泣いてるのがわかる、あの表情の素晴らしさ。そして自分に向けた「最悪」の言葉。どうしてもトップ張りたい女の根性とストレスは、今も彼女を呪縛している・・・ああ、これほどまでに「学園のヒロイン」だったキキが演じることに意味を感じる役があったでしょうか!
ジェナ役のリジー・カプランも自堕落な生活を続けていて「ジャック・ジョンソンのTシャツ着てるような男」と寝てしまった!とうんざりする冒頭から片時もタバコと薬と酒が手放せないやさぐれ具合が泣かせますし、アイラ・フィッシャーも得意のはっちゃけたお馬鹿さんなヒロイン像を踏まえると、本当に抱えていた気持ちを笑いながら吐露するシーンのしみじみとしたせつなさに胸が苦しくなる。

彼女たちが演じてきた、ハッピーエンド・コメディの記憶。
でもその先はまだ終わっていない。私たちもそうであるように。

bachelorette_03もうひとつ、忘れがたいのが男子の描写のフェアさです。ジェームズ・マースデンが醸し出す「キングその後」感は本当に素晴らしかった。彼とキキの間にある、今の自分たちが最低なことわかってる、同じ種類の人間の連帯感。似すぎていて突き合えないタイプの2人。結局互いに全然寄りかかりあわない関係なので、勢いでトイレで一発やっただけで、助けあうこともせず、でも最後にはちょっと視線を投げあって笑いあう。ロマコメにおいて「ありそうでなかった」こういう男女の関係性は私にはとても嬉しいものでした。その他の男子――ジェナの元カレや“名前も憶えてもらえない男子”、めちゃくちゃいい奴な花婿さんやメイル・ストリッパー男子にいたるまで、男子も女子も関係なく、割と同じようにいい奴で、同じようにずるくて、同じように弱くて、同じようにタフだ、ということがこの映画には貫かれています。そして異性に救われることも、同性に救われることも、自分に救われることもどれも否定していない。その感覚がとても好きでした。

ふざけて破いてしまったドレスをどうにかしたい、という彼女たち3人のドラマが分岐して、ドレスそっちのけで進んでしまう脚本と「和解」の拍子抜け感、ジェナがらみの設定においてちょっと「え、それでいいの・・・」と思うところがなくはないのだけど、ラストに流れるこの曲が与えてくれる多幸感の前にはあまり意味がないことな気がします。

クイーンビー&サイドキックスも若くなくなればしんどい。自分よりダメなはずの奴に幸せになられると腹が立つ気持ちもひとしお。ホントはもうずっと前から知ってたけど私ら大概サイテーだし、こうなっちゃったのも自分が抱えた問題のせい。 それでもまだまだ人生は続くしな!泣くと思った?おあいにくさま、泣いていられるかバーカ!とケラケラ笑いながら舌を出すような逞しさ。レーガンは多分これからもクズい女王様のままでしょう。でも、それでいいのです。『ヤング≒アダルト』もそうだったのですが、私はこうした「私はこのまま生きてくしかない」の映画でこそ、元気になれる。これぞ素晴らしき「私(たち)の映画」なのです。

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ということで、未見の未婚アラサー女子の皆さんがいらしたら、是非ご覧くださいね!(@vertigonote

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