【Music】架空の映画のサウンドトラック/Julia Kent『Delay』

こんばんは、vertigonoteです。

私はいちばんの趣味は映画と映画についてお喋りすることなので、ここ数年は音楽というとサントラ盤ばかり買っているのですが、昨年あたりにふと「サウンドトラック」でなくても「サウンドトラックのような音楽」が好きなのかもしれない、と気づきました。そのきっかけが、本日ご紹介するジュリア・ケント「Delay」(2007年)。愛読している大場正明先生のブログで紹介されていた記事をきっかけに出会ったアルバムです。

紹介文が気になって聴いてみたところ、2枚目の『Green and Grey』も素晴らしかったのですが、とにかく私の胸をときめかせてやまない音だったのはデビュー・アルバムの『Delay』。一目惚れならぬ一聴惚れして、i-Tunesで即購入(amazonでの取り扱いを見るとCD価格は高騰しているようですが、 ダウンロードであれば¥1500で購入できます)。

アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズのメンバーでもある女性チェリスト、ジュリアのつくる音は最初に聴いたときから不思議な懐かしさ。遠くから見た夜の街の光のような優しくメロウな音もあれば、やたら不穏で危機感をあおるようなハーモニーもあり、雨音のようなピチカートが響いたかと思うと切り裂くように鋭い音に切り替わる、けれどいずれもチェロという楽器の持つ不思議なあたたかみが宿っているのが耳に心地よい。1曲、1フレーズごとに回りの景色が変わっていくようなサウンドスケープデザイン。
私がいちばん好きなのは“Dorval ”。水たまりに波紋が広がるようなヴィブラフォンが美しい。

ジュリア本人も、その音のように強くて美しい貌をした女性なのも嬉しいところです。

ところで冒頭に「サウンドトラックのような音楽」と紹介したのは、このアルバムを聴くたび――インストゥルメンタルのアルバムを聴く折についつい出てしまう私の癖であるところなのですが――「どんな映画のサウンドトラックに似合うだろう?」という妄想を始めてしまうから。ある日には、過去のある女性が田舎から都会へ移り住んで出会った人や出来事を描く、ビターなんだけど希望がある話に似合うかもしれないと感じる。ある日には(アルバムタイトルの由来は「空港」での待ち時間だそうなので)空港をテーマにしたオムニバス映画のサウンドトラックにも良いかも、と想像する。実はこれ「嵐が丘」にも似合うんじゃないだろうか?なんて感じた日もある。

そんなことを考えながら聴く音楽は、いつもに増して甘美に聴こえます。

特別に気にいっているインストゥルメンタルのアルバムがある人には――もちろんあなたのそれはクラシックかもしれませんし、ジャズかもしれません――こんな聴き方もお馴染かもしれませんね(そもそもインストでもないかもしれませんね)。こうした 音から想像した世界を作る監督は誰?キャストは?脚本は?「音楽」の楽しみ方はそんな「わたしだけの映画(物語)」を妄想することにもあるのではないかと、最近よく感じています。(@vertigonote)

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