【movie】きっとあなたも素敵な大人に/『愛しのアクアマリン』

こんにちは、@vertigonoteです。

本日ご紹介する劇場未公開映画「愛しのアクアマリン(2006年)」は
普通のキュートな女子コメディなのですが、私は途中で涙腺決壊。
そのときは何で泣いてるのか分からなかったのですが、
改めて考えると、誠実で優しいつくり手のメッセージと
多幸感にすっかりやられてしまったからだと思うのです。

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■トウィーン(tween)という言葉をご存じでしょうか。狭義には10歳~12歳、広義で8歳から14歳くらいまでの年齢の子、いわゆるティーンエイジャーの下世代(恋とかお洒落の話が大好きな女子層!)を指して使う言葉。日本だと“りぼん”や“なかよし”の世代、と呼ぶのがよいかもしれません。そんなトウィーン向けのファンタジー・コメディでどうしてここまで私が号泣しているのでしょうかと自分に問うまでもなく、私は本当に本当にこういう「背丈の切実」を美しく切り取り、女の子たちの友情や彼女たちの生きる日常を全力で祝福する誠実な映画が大好き。この映画もまたそのひとつ。まるで教育テレビで放映されてる健全なティーン・ドラマのスウィートネスだけを集めたかのよう。ほら、みんな思いだして!ドギー・ハウザーとかボーイ・ミーツ・ワールドとかフルハウス、最近だとアイ・カーリーやハンナ・モンタナにおける「恋にドキドキ!」「友情の亀裂と仲直り!」のパートを。あれを集めて、海辺にもっていって、“すこしふしぎ”のエッセンス(多分香りはバニラだと思う)を振りかけたみたいなかわいらしい映画なのです。“りぼん映画”ジャンルの金字塔といっていいと思う。

■海洋学者のお母さんと二人暮らしの娘と親を水難事故で亡くして水が怖い娘が親友で、二人はもうすぐ離れ離れになるのが怖くて仕方ないという設定。その二人が恋する人魚(家出してきた)の願いを叶えて、自分たちをずっと一緒にいさせてもらおうとする。もうこの設定だけで涙が出そうになるのだけれど、何が素晴らしいかといって、全員のひたむきさが世界のキラキラ感につながっていること。雑誌で男の子攻略法を研究してるものの恋もデートもまだ夢の夢な感じの中学生女子2人の友情と可愛い人魚のアクアマリンちゃんの「愛って素敵!私も3日で愛を見つけるの!」な純粋とWeezerのIsland in the sun。これ以上何を望めばいいというの、とため息が出る。

girls■人魚のアクアマリンがギャルなのもかわいいし(サラ・パクストンはちょっと『キューティ・ブロンド』のときのリース・ウィザースプーンみたい)、ローティーンのお互いに“友達がお互いしかいない”ヘイリーとクレアの精一杯の背伸びぶりが愛おしい。「チビ扱いされてるけどもう私たち大人なんだから!」という小さなレディたちのプンスカした顔、くしゃくしゃの笑顔やパラソルに隠れて憧れの男の子を観察する顔、全身の躍動、お洒落や恋に憧れる気持ちがこれ以上ないほどイキイキと捉えられている。3人がキャー!って言いながら好きな男の子の家の前を自転車で通り過ぎたり、モールでショッピングしたりって姿だけで涙が出てきて仕方なかった。ああ、この子たちにはこんなに世界がキラキラしてみえていて、その世界で精一杯に頑張ってる――

■大切な友達や憧れのお兄さんもいれば、意地悪なお姉さんたちにからかわれることもある。差し迫った家族の事情もあったりする。ヘイリーとクレアはそのなかで大切なものを守るためにひたすらに一生懸命で、そのひたむきさがアクアマリンの奇跡を生む。この監督はとても丁寧に、当たり前のように“彼女たちの目線に揃えた位置から”世界を捉えていく。大人が子どもを見るようなまなざしではなく、最初から最後まで12歳前後の子どもたちに目の高さが揃っているのだ。だからあんなにも家族の事情に左右される一定の年齢までの切実が見事に切り取られているのだ。子ども騙しじゃなく、子ども向けの映画をつくろうとする人の誠実がそこここに。

■そうして徹底して少女たちの目に沿った映画は、最後の最後で大人の視点からの彼女たちをはじめとする女の子たちへの祝福のメッセージに変化する。ヒトデのイヤリングがささやくあの言葉!これは本当に感動的。「大丈夫、今はビキニが似合わなくて、大人の事情に左右されている貴女たちも、そのハートを大切にしていれば素敵なレディになれるし、素敵な恋もできるよ」そんなふうに背中を押す声がもう誠実すぎてまた落涙。小さな未来のレディたちが夢見る大人の世界と「キャー!」というキラキラした笑い声。こういう映画が好きだから私は映画を見続けているのだな、と改めて気付かされた作品でした。

追記:エリザベス・アレン監督は『ラモーナのおきて 』もおすすめです。(@vertigonote)

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