2019年12月31日、つまり2010年代最後の日にお送りします。ガーリエンヌの「2010年代ベスト」曲編です。
10. Spending All My Time/Perfume(2012)
Perfumeは、私にとってはずっと「本人たちには非常な敬意を払っているけど、楽曲的にこれだ!というのがじつはない」という存在でした。が、それを上書きしてくれたのがこの曲。多くを語らず、機械的に同じ歌詞が繰り返されるだけ…のはずなのに、この典雅さと、発せられるメッセージの大きさよ。いちポップグループの域を脱して、彼女たちの生き様そのものが音楽になっている証拠だと思う。
「東」を想起させる制服のようなファッション、超能力実験をテーマにしたというビデオも、2010年代のトピックある百合SFを先取りしている…と言っても言い過ぎではないはず。
9.Do Or Die/Doverman Infinity(2016)
2010年代のエンタメエポックメイキングといえば、LDHのHiGH&LoWシリーズを外すことはできません。
「Higher Ground」も「Run This Town」も「Top Down」も大好きだけど、カラオケでいちばん歌ったのが、山王連合会のテーマソングであるこの曲。
付きまとう試練 神からのご指名
また俺かよ けどもう動じねぇ
一発目からこのパンチライン。全編、己を鼓舞しまくる歌詞に最高にたぎる。
細かいこと言うと、自分自身に対して歌っているだけでなくて、さらっと「Let me take your heart to my story」の一言が入ることで、仲間や“君”がいるって存在を感じさせるのも上手いなーと思います。
HIROさん! 20年代もお世話になります!!
8. Your Best American Girl/Mitski(2016)
日米ハーフ、2019年のフジロックのステージも話題を呼んだミツキ。この曲に関しては、もう本当にサビの歌詞がすごい。
Your mother wouldn’t approve of how my mother raised me
But I do, I think I do
And you’re an all-American boy
I guess I couldn’t help trying to be your best American girl
あなたのお母さんは、私が母にどう育てられたかなんて、わかることはないでしょう
でも私はわかる、わかると思う
あなたは生粋のアメリカンボーイ
私はあなたの「ベストアメリカンガール」にはなれない
深夜のツイッターか? というくらい心の声がダダもれなのに、メロディと完全に一致していて、曲のサビとして成立している。何回聴いても一緒になって胸を引き裂かれるほどエモーショナル。
7. You Need Me, I Don’t Need You/Ed Sheeran(2011)
素朴な容貌の赤毛のフォークシンガーが、マシンガンのごとき早口で、皮肉たっぷりの歌詞を歌う…見事に度肝を抜かれました。その後もヒット曲を連発しているけど、私はこの曲がいちばん好き。
最後に一瞬だけ本人の顔が写るモノクロのビデオも超クール。
6. The Sound/The 1975(2016)
シンセサイザーがきらめくキャッチーなダンスチューンであると同時に、シビアな失恋ソング。「君が近くに来たら、心臓の音でわかるんだ」とサビで歌って、ハッピーなラブソングに見せておいて、思いきり裏切るのがこのバンドらしい。
個人的に大好きな映画である『世界一キライなあなたに』(2016)の重要シーンでかかったことも含め、強烈に「2010年代」のイメージで刻印されています。
5. Teenage Dream/Katy Perry(2010)
大人だからこそ歌える“Teenage Dream”の説得力。
この曲を発表したのは、ラッセル・ブランドと婚約して幸せの絶頂の時期。現実は、その数年後に破局を迎えてしまうのだけど、「We can dance, until we die / You and I, will be young forever」と歌われる瞬間の真実は永遠。
4. Young And Beautiful/Lana Del Rey(2013)
変わり映えがしない、マンネリなどと言われようとも、アーティストにはしつこく繰り返し取り上げるべきテーマがある。ラナ・デル・レイにとってのそれは、愛を捧げること、喪失、そしてアメリカの夏の美しさについて。
3つの要素が見事に結晶化したこのバラードは、『華麗なるギャツビー』の世界観そのままに、聴く者を白昼夢のような陶酔に引きずり込みます。
3. Lean On/Major Lazer & DJ Snake feat. MØ(2015)
10年代はDJがスーパースターになったディケイドでもありますが、それを象徴するメガヒット曲。三つ編み×アディダスというアイコニックなファッション、ピンクが印象的なインドの風景、ゆるいダンスのビデオも中毒性が高くてハマりました。
あと何度聴いても、どうしても雨宮まみさんのことを思い出しちゃうね。
2. Boom Clap/Charli XCX(2014)
Boom,Boom,Boom Clap!という直球のイントロが脳天に響くたび、曲が終わるまで3分間、(気分的に)直立したまま聴きとおしてしまう。
暴力的なまでの瑞々しさは、青春としか言いようがない。その後のDIY精神を忘れないキャリアも頼もしく、次の10年でいよいよ大成しそうなアーティスト。
1. We Found Love/Rihanna feat.Calvin Harris(2012)
合法ギリギリの“聴くドラッグ”。サマーソニック(2012)で流れたときは会場が異様な狂乱状態に陥って、私も頭が真っ白になった。
目を背けたくなるのに凝視してしまうビデオも含めて、2010年代でもっとも危険で刹那的で、そして哀しいラブソングです。
【次点】
The Chemichal Brothers「Swoon」(2010)
Talor Swift「We Are Never Ever Getting Back Together」(2012)
Aimer「RE:I AM」(2013)
The Naked And The Famous「Hearts Like Ours」(2013)
ゲスの極み乙女。「猟奇的なキスを私にして」(2014)
Ariana Grande feat.Iggy Azalea「Problem」(2014)
Qrion「beach」(2015)
Rina Sawayama「Alterlife」(2017)
Ariana Grande「Thank You,Next」(2018)
2010年代の総評に関しては、【Music】2010年代のベストアルバム<ガーリエンヌ編> もご覧ください。
それではみなさん、良いお年を!